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総額人件費管理

2017-08-08

総額人件費管理は、適正な賃金管理によって、社員の生活安定、モラールの維持・向上、有能な人材確保を図るとともに、過剰な賃金の支払いによって労務倒産を引き起こすリスクを回避するために重要です。

◆ 総額人件費の現状

我が国における総額人件費(日本経団連2016年発表、1人1カ月あたり)と内訳(推計値)

総額人件費:439,083円(所定給与額比166.7)、[ ]は総額人件費を100とした割合

現金給与総額:357,949(135.9)[81.5]
所定内給与:263,402[60.0]
所定外給与:25,106[6.7]
賞与・一時金:69,441[15.8]

現金給与以外の人件費:81,134(30.8)[18.5]
退職金等:22,051[5.0]
法定福利費:47,434[10.8]
法定外福利費:8,811[2.0]
現物給与:630[0.1]
教育訓練費:1,100[0.3]
その他:1,108[0.3]

現金給与総額は総額人件費の81.5%を占め、その内、所定内給与が60%、賞与・一時金が15.8%であり、言うまでもなく、企業の重点管理対象となっています。

また、現金給与以外で注目すべきは法定福利費で、10.8%を占め、高齢化を背景に年々増加しており、賃金改定の労使交渉でも、注意を払う必要があります。

◆ トップと人事部門の留意点

労働分配率は、経営目標の達成で得た付加価値に占める総額人件費の割合です。

労働分配率=総額人件費÷付加価値

総額人件費管理を適正に行うには、

①労働分配率を50%以下に安定させることを目標とする。(資本金10億円以上で55%、資本金1千万円未満で81.1%、企業間格差大)。

②総額人件費中の所定内給与(月例賃金)を同業他社比で優位な金額とし、有能な人材の確保を図ること。

③賞与は、社員の意欲を引き出す効果と併せ、業績変動に対応して人件費をコントロールする狙いをもって活用すること。

が大切であり、年功賃金を避け、役割貢献給の考え方で、賃金制度・目標管理制度を設計、運用することが重要です。