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「持参」「申し出」は謙譲語であることを知るべし!

2017-10-16

敬語には尊敬語と謙譲語がありますが、両者を混同するケースが多いようです。

「当日は筆記具をご持参ください」という一文では「筆記具を持ってきてください」の意味で使う「ご持参ください」という敬語もそのひとつです。

「持参」とは字からも分かるように、もともとは「持って参る」という謙譲語で、自分をへりくだっていうときに使う言葉です。

謙譲語の主語は自分なので、自分が「持って行く」ときに「見本の商品を持参しました」とか、「ご確認いただきたい書類がありますので持参します」のように使います。

「筆記具をご持参してください」という場合も「ご持参して」は「ご持参する」の活用形なので、謙譲語であることに変わりはありません。

相手に何かものを持ってくるように頼むときは「お持ちになってください」「お持ちください」とする方が適切です。

相手に「持ってきてください」と伝える場合、使うのは相手を主語とする尊敬語です。

尊敬語「お(ご)~になる」を使い「お持ちになってください」とするか、「~になる」を省いた尊敬語「お(ご)~ください」を用い「お持ちください」とします。

そうすると冒頭の例文は次のように書き換えることができます。

「当日は筆記具をお持ちになってください」または「当日は筆記具をお持ちください」。

自分が「持って行く」場合は、謙譲語「お(ご)~する」を用いて「私が筆記具をお持ちします」とし、すでに謙譲の意を持つ「持参」は使わない方が無難でしょう。

似たような使い方をする言葉に「申し出る」があります。

「自分から言う」という意味の謙譲語なので「退会することを申し出ました」のように自分の行為に対して使います。

相手の行為に使う場合は「委員会参加の可否をお申し出ください」より「委員会参加の可否をお知らせください」とする方が適切です。

相手の行為に「ご持参ください」「お申し出ください」を使うことは誤用ではありませんが、本来は謙譲の意の言葉で、自分の行為に用いる言葉であることは知っておくといいですね。