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イタリア料理店が切り開く庄内地方の食文化
2017-10-13
【タイトル】:奇跡のレストラン アル・ケッチァーノ 食と農の都・庄内パラディーゾ
【著者】:一志治夫
地元の食材を使った独自の料理を目当てに全国からお客が集まるイタリア料理店が山形県鶴岡市にある。
本書はこの「アル・ケッチァーノ」のシェフ、奥田政行氏と、苦労を重ねながらも在来作物などの食材を育てる地元の生産家の姿を追ったノンフィクションです。
生産者が復活させた藤沢カブや赤ねぎなどの在来作物を使って奥田氏が庄内地方を盛り上げようとしている様子が伝わってきます。
「食に効率化を求めることは難しい」「農業を産業として見てはいけないのよ」という生産家の言葉が耳に残ります。
食文化に関心のある人にはぜひ読んで欲しい一冊です。
早く一人前になって故郷の鶴岡に帰ろうと、貪欲に料理を学ぶ奥田氏の修業時代の話にも引き込まれましたが、シェフの成功物語にとどまらないところが本書の魅力です。
苦労しても農業に真摯(しんし)に向き合う生産家の話に、自分はどこまで食べ物のことを考えていたのだろうと思わずにいられません。
難題に挑む奥田氏や生産家の攻めの姿勢には生きる力を感じます。
奥田氏の料理を食べてみたくなりました。