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『百日紅(さるすべり)~Miss HOKUSAI~』
2017-10-15
『百日紅(さるすべり)~Miss HOKUSAI~』、2015年の日本映画より。
浮世絵師・お栄(声:杏)は23歳。
父であり、絵の師匠でもある葛飾北斎(声:松重豊)と絵を描いて暮らしています。
掃除もしない、炊事もしない、ゴミも捨てない。
住めなくなったら引っ越せばいいという雑然とした家は、まるで合宿所です。
居候の絵師・善次郎(声:濵田岳)が酔っ払って連れてきた絵師の国直(声:高良健吾)と飲んだり、離れて暮らす妹・お猶(清水詩音)と出掛けたりしながら日々、絵師として精進しています。
恋に不器用なため絵に色気がないといわれて落ちこんだりもしますが、両国橋や吉原、火事、妖怪騒ぎなどを楽しんで暮らしています。
監督は『河童のクゥと夏休み』や『クレヨンしんちゃん』シリーズなど、大人も泣けるアニメーション作家として評価の高い原恵一氏。
自身が敬愛してやまない杉浦日向子の『百日紅』を初の長編映画化しました。
若くしてこの世を去った彼女が20代後半に描いた本作は、発表から30年あまり経った現在もなお傑作として多くの人に愛されています。
監督の思いが映像となり、お栄がすばらしいです。
目の見えない妹を大切にし、死と向き合う強さをもちながらも不器用でうまく恋心が伝えられません。
だけど、絵に対しては人一倍真摯に向き合っています。
タイトルになっている百日紅は、わさわさと散り、もりもりと咲くというお祭り状態が梅雨明けから秋まで100日ほども続くのだとか。
長い長い祭りなのです。
この作品を見れば、江戸時代にタイムスリップして、お栄と一緒に飲んで騒いで、わくわくドキドキの長い祭りが体験できます。
もちろん楽しいことばかりではありません。
誰しも心が壊れてしまうほどつらいこともあるでしょう。
だけど毎日、懸命に生きていればステキなこともたくさん起こるはずです。
忙しい日々にちょっぴりお疲れ気味の方に特におすすめの作品です。