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「残業に課税」~税務調査官が主役のお仕事小説
2018-04-19
【タイトル】:残業税
【著者】:小前 亮
働きすぎの抑制とデフレ解消を目的に、政府は時間外の労働に課税する「残業税」の導入を決定。
残業税を担当する税務調査官・通称「マルザ」の矢島顕央は、あるIT企業に脱税の疑いを抱くが証拠が見つからない・・・。
冷静な矢島と正義の味方を自認する熱血漢の労働基準監督官・西川宗太郎のコンビが葛藤を抱えながらも、さまざまな事件に挑む「公務員系お仕事小説」です。
続編の『残業税 マルザ殺人事件』はミステリー色が濃厚です。
残業税は残業時間が長ければ長いほど税率が上がり、一カ月の残業時間が80時間を超えると8割にもなるとか、残業税導入のおかげで物価が上昇し景気は回復、少子化にも歯止めがかかったとか、今の時代を反映した細かい背景設定が興味深かったです。
残業税が架空の制度ゆえ説明書きが多めで、事件が次から次に起きることもあって複雑さを感じさせる部分もありますが、謎解きが好きな人は面白く読めそうです。
単純な勧善懲悪物語でもなく、人間の弱さも描かれています。
「残業税が実際に導入されたら!?」と思わず想像しました。