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あの人がお得意さまを失ったその理由

2017-10-30

得意先のAさんが合格率数パーセントの資格試験に合格したとき、営業マンのBさんは通り一遍の「おめでとうございます」しか言えませんでした。

Bさんはここ数年、自分自身が達成感と無縁の仕事をしてきたせいで、「がんばった末に成し遂げる」という苦労や晴れがましい気持ちが分からなくなってしまったのです。

顧客の心情をくみ取れない営業マン、使う人の身になれない職人、部下の気持ちが分からない上司、場の雰囲気が読めない司会者、仕事の上ではどれも人間関係に致命的な傷を残しますね。

残念ながらBさんはお得意さまを一人失いました。

たとえ同じ経験がなくても、想像力があれば「こうかもしれない」と察することができます。

相手の気持ちを察することは一種の能力です。

何となく人の気持ちが分かってしまう人もいれば、どうしても自分中心の考え方や見方になりがちな人もいて個人差があるのは事実ですが、ほかの能力と同じように想像力も訓練して鍛えることで磨かれていきます。

例えば、ものの見方や考え方を今までと少し変えてみることは想像力を養う立派なトレーニングです。

映画を見るとき主人公以外の人物に注目してみる。

読み終わった本の結末から始まる新たなストーリーを考えてみる。

空想日記を書いてみる。

いつもと違ったことをすると、いつもと違った景色が目に映ります。

つまり経験が想像力を育てるわけですが、ただ経験すればよいわけでもありません。

大事なのは何かを経験することより経験から何を得たかです。

目を閉じて自分の部屋を歩いてみると、住み慣れた自宅が異空間に感じられるでしょう。

その違和感が「経験の産物」です。

暗闇の中で方向感覚を失って、手探りで一歩ずつしか歩けない恐怖と不安。

そのときあなたは目の不自由な人の立場に寄り添っています。

これから先、街中で目の不自由な人が困っているのを見たら、自然と声をかけて手助けしているあなたがいるかもしれません。

近づきすぎると全体が見えません。

遠すぎると大事な細部を見逃します。

少し離れた場所からよく観察する。

これは物事をよく知るコツであり、想像力を磨く極意ともいえそうですね。