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さじ加減とセンスが問われる「返報性」
2018-10-31
世界を旅してきたという日本人とオーストラリア人のバックパッカーに会いました。
移動手段は主にヒッチハイク。
時にはあったばかりの人の家に泊めてもらったりして、旅先ではたくさんの人たちのお世話になったそうです。
日本人の男性が言いました。
「僕は人から親切にされるたびに“なんだか申し訳ないな”“何かお返しをしなくては”といつも感じていました。
でもオーストラリア人の彼は当たり前のように親切を受け入れ、むしろ堂々としているんです」。
自分は日本人だから人の好意に対して萎縮してしまうと自己分析していましたが、人に何かをしてもらったらお返しをしないと申し訳ない気持ちになるのは、国籍や年齢に関係なく人間が本能的に持っている心理です。
これを「返報性の原理」といいます。
プレゼントをもらったりご飯をごちそうになったりしたら、何かお礼をしようという気持ちになります。
親切にしてくれた相手には自分も親切にしたくなります。
恩を受けたら恩を返そうと思うでしょうし、笑顔を向けられたら笑顔を返したくなりますね。
逆に敵意をむき出しにされたら、こちらも敵意を示したくなります。
これも返報性の原理の一種です。
「好意」だけでなく「敵意」や「譲歩」(譲れば譲り返してくれる)や「自己開示」(心を開けば心を開いてくれる)でも返報性の原理が働きます。
誰もが無意識のうちにやっていることですが、色々な場面で返報性という心理が働いているのです。
自分から与えることが成功や幸せの秘訣だといわれます。
返報性の原理でいうと、自分から親切にして、自分から譲り、自分から心を開き、自分からは敵意を示さない。
これは顧客と良い関係を築くための心得でもあります。
また「無料プレゼント」「無料お試し」「試食」「試着」などはお客さまが「借りができた」と感じやすいので、好意の返報性を期待できるとされています。
ただし、先に無料で提供してお客さまに貸しを作ろうという安易な考え方はいただけません。
親切の押し売りでは質の良い人間関係を築けませんし、関係も長続きしないでしょう。
ところで、旅先の親切を堂々と受け入れていたというオーストラリア人の男性ですが、心から喜び、心から感謝して、その時間を心から楽しむことが彼の「返報性の原理」だそうです。