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現在の決算書と将来の経営計画~その2

2019-07-08

(その1からのづづき)

減損会計とは企業が保有する固定資産の収益性が低下して、その資産への投資金額の回収が見込めなくなった時に、下落部分を固定資産の帳簿価格から落とす会計処理です。

減損会計では、土地、建物やM&Aを行ったときに発生した超過収益力として、のれん等の固定資産が将来どれだけキャッシュフローを稼げるかを予想しなければなりません。

その算定されたキャッシュフローが固定資産の帳簿価格から大きく下回ると、減損損失を計上しなければなりません。

税効果会計における将来利益予想でも、減損会計における将来キャッシュフロー予想でも、ベースには経営計画が存在します。

過去の実績をベースに将来計画を作成し、将来計画が過去の実績に影響しないのであれば話は簡単ですが、税効果会計も減損会計も、将来計画が過去の実績表示である決算書に影響を与えるという二重構造になっていることに注意しなければなりません(当然、過去のキャッシュフロー実績には影響を与えませんが、会計計算としての決算書表示に影響を及ぼすことになります)。

つまり、甘めの経営計画の作成は、将来だけではなく、現在の決算書も嵩上げできることになります。

そうした構造の下では、特に業況が悪くなると、楽観的な経営計画を作成したいという誘因が強く働きます。

しかし、それを行うと、将来本来の実力が露呈した時、その時点の業績不振に加え、繰延税金資産の取り崩しや固定資産の減損等の過去のツケを一気に払わなければならなくなり、将来の決算書が著しく傷つくことになります。

どんなに事態が悪化しても、経営計画は希望的観測ではなく、キャッシュフロー獲得能力をベースに精緻に作ることが会社を守ることにつながります。

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)