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実体経済から乖離する株価~その2

2019-10-16

(その1からのつづき)

次に、財務諸表上の利益と税金の乖離の問題があります。

海外子会社の業績は連結財務諸表にストレートに反映すると同時に、税額算定のベースとなる親会社単体の財務諸表にも影響を与えます。

それは海外子会社からの配当金という形で営業外収益に計上され、親会社の単体の利益を底上げします。

どういう形であれ、利益が上がれば、税収が増えそうですが、そうとも言い切れません。

というのも、海外子会社からの配当金は、条件はありますが、原則として税務上益金不算入となるからです。

その結果、海外子会社からの配当に利益を依存する親会社の法人税額は伸びないことになります。

このような事情で、企業業績が好調で株価が高ければ、我々の生活はストレートに豊かになるとは言い切れない経済構造になっているといえます。

最近は人口減少により国内需要の低迷は不可避ですから、グローバル企業の海外依存は強まるに違いありません。

したがって、株価と実体経済の乖離傾向も強くなると思われます。

これまで、株価は実体経済を反映する鏡だと言われてきました。

依然として、そうした側面があることは否定しませんが、昔に比べればその要素は薄くなっていることを考慮して、冷めた眼で株価を見ることが必要だと思います。

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)