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定年延長と賃金・退職金

2019-12-21

製造部品メーカー・N 社は、25 年続いた年功に傾斜しがちであった従来制度からの転換で、少子高齢化・生産年齢人口の減少・社員の人員構成の高齢化と事業のグローバル化を契機に、全従業員の「やる気と安心感」を引き出す目的をもつ戦略的に定年延長を実施しました。

<N 社の65 歳定年制度>

65 歳まで勤労意欲を落とさず働きがいを持ち続ける制度にするため、60 歳到達時点の給与水準と同等の給与水準を維持する設計。

勤務形態はフルタイム、60 歳以降も同一職場を原則とし、資格、賞与、各種手当、その他福利厚生を含めた制度は、60 歳到達前と同様。

◆ 給与水準の維持

60 歳到達前の給与水準を保つために、二つの施策を実施。

・ベテラン層の昇給配分を抑え賃金カーブの上昇を抑える。

(概ね50 歳以降で行い、60 歳までの現行賃金カーブとの差分を、60歳以降の5年間の給与に移行。

・退職金である企業年金制度の見直し。

今回、定年を65 歳まで延長することで、企業年金の支給開始を60 歳から65 歳へ繰り下げ。

また保証期間が15 年で終了する80歳以降は、支給金額を一定の割合で減額。

支給開始年齢5歳繰り下げと保証期間終了後の減額によって捻出された費用も60 歳以降65 歳までの賃金維持の原資に。

◆ 経過措置

制度移行にあたって、退職金と基本給の2点について、5年間の経過措置。

・退職金については、退職年金の減額分を60 歳から65 歳の賃金に充てるため、65 歳より前に退職した場合、年金の減額分を賃金の増でカバーできない可能性があり、カバーできない場合は、退職時に一時金として実費補填する経過措置。

◆ 基幹職の処遇

従来は資格毎に処遇が決定し、職責の重さを必ずしも反映していない報酬制度。

また58 歳時には、一律20%ダウンの年収改定。

60 歳以降の昇給は無くし、業績評価の反映は賞与のみ。

職責・役割が一人ひとり大きく異なり、65歳まで一律年収維持する制度はそぐわない報酬制度。

・基幹職も一般職同様65 歳定年制度導入。

60 歳到達前

職責に応じた役職手当を加える報酬体系

・業績評価に応じて昇給額を変動させ、同時に賞与査定額を拡大。