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複数の言語のはざまに生きる子どもの心のうちを垣間見る
2020-09-29
【タイトル】:「国語」から旅立って
【著者】:温又柔(おん・ゆうじゅう)
著者は台北生れの小説家。
台湾人の両親とともに3歳で来日し、日本語と出会ってから「ほかのどんなことばよりもずっと、わたしは日本語が得意だ」と言える今にいたる道のりをつづったエッセイです。
国語の授業で書く楽しさを知ったり、他人の不用意な言葉に傷ついたり、中国語の習得に苦労したりと、喜びや悲しみ、葛藤を繰り返しながらも中国語より日本語が得意な自分を受け入れていく様子が描かれています。
台湾語、日本語、中国語の間で揺れ続けた著者の切なさが胸に迫ってきます。
2017年、著者の小説『真ん中の子どもたち』は芥川賞の候補になりました。
オンさんのおむすびは「すっとととん」って転がるんだね、でも「すっとんとん」と書いてあるからそう読んであげようね。
読み間違えをした小学校1年生の著者に、K先生がかけた温かい言葉はその後も著者を支えます。
母国語と日常生活で使う言葉が異なる人や家庭はこれから増えていくでしょう。
そしてそれは容易なことではない。
人としても言葉において寛容であることの大切さを感じました。