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顧客は日々折々
2022-08-08
夫婦の機微(きび)は思わぬところで伺い知れるもの。
機械メーカーで営業をしている40代のAさんは、お酒の席で上司の家庭のグチを聞く羽目になりました。
上司がこぼすことには、奥さんが以前と比べてずいぶん変わったのだとか。
出社するとき、新婿当初は玄関先まで来て「行ってらっしゃい」「気をつけてね」と見送ってくれた奥さんが、しばらくするとベッドの上から「行つてらっしゃ~い」になり、そのうち布団の中から言葉もなく手だけ振るようになった。
今では朝起こすと不機嫌になるので、奥さんを起こさないようにそっと家を出るそうです。
「年月が経てば色々なことが変化する。最初と今を見比べれば違いは一目瞭然でも、人は案外、変化にうとい。寂しいもんだ」。
上司の言葉を聞きながらAさんが思い出していたのは、今朝も玄関で見送つてくれた奥さんのことではなく、かつて顧客だったTさんのことでした。
営業初心者だったAさんの顧客第一号になってくれたTさんとは、親子ほど年が離れていたのに妙に気が合って、Aさんのメンター的な存在でした。
ある日のこと「最近、Tさんに会っていないなぁ」と思い、日報で確認したところ、Tさんから最後に連絡があったのは半年も前のことだつた。
そこで初めてAさんは気づいたのです。
Tさんは自分を避けている。
それなのにTさんとは信頼関係ができていると調子に乗つていた。慌ててTさんに連絡をして、気を悪くさせてしまったのかと尋ねたそうですが、Tさんはいつもの様子で「そんなことないよ。今は忙しくて。・・」を繰り返すばかり。
結局、Tさんの本心を聞けないまま疎遠になってしまったという苦い経験です。
上司が言う通り、人は案外、変化にうとい。
春夏秋冬を知らせる「四季折々」ほどの変化なら一目瞭然でも、顧客との機微はもつと俗っぽく「日々折々」といったところでしょうか。
お客さまをよく観察して小さな変化にも敏感であろう。
Tさんとの経験から学んだ「日々折々」は結婚生活にもいかされているようで、Aさんの奥さんは今朝も玄関で「行ってらっしゃい」と笑顔で手を振ってくれたそうですよ。