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国税の信託型SOへの見解と税制適格SOの株価算定ルール
2023-07-16
◆ 信託型ストックオプションの概要
信託型ストックオプション(以下、ストックオプションをSO と記載)とは、SO の権利行使価額を発行時点の時価とし、発行時点ではなく後で、付与対象者および付与数を特定し発行できる特徴があります。
そのため、将来採用する人材に、入社後の成果や貢献度等を見てからSO の付与が可能です。
課税においては税制適格SO と同様に行使時、株式売却の2 つの課税タイミングのうち、行使時は給与所得課税最大55%が無く、株式売却時に20%の譲渡課税のみとの認識で、スタートアップ等の急成長する会社において、多く利用されておりました。
◆ 国税庁の見解とスタートアップへの影響
2023 年5 月29 日に国税庁と経済産業省によるSO 税制説明会が開催され、信託型SOについては行使時に給与課税として処理される旨が説明され、過去の行使および売却した分についても過去5 年に関しては遡及して納税義務を負うとのことでした。
これまで上場企業含めて約800 社が信託型SO を導入しており、スタートアップに及ぼす影響は少なくないと考えられます。
◆ SO に対するスタートアップの今後の動き
SO 税制説明会では、税制適格SO の株価算定ルールもあわせて説明されました。これまでの業界標準とは異なり、株価算定時にセーフハーバーとして純資産法での算出が可能というものでした。
これにより、スタートアップはこれまでと比較しても安価にSO の付与が可能になるため、今後スタートアップへの転職者が増える可能性があると思えるものでした。
なお、税制適格SO とは、ある一定の条件(譲渡禁止、年間権利行使に限度額がある等)を満たすことで、SO 行使時、株式売却の2つの課税タイミングのうち株式売却時に20%の譲渡課税のみというものです。